記憶の中の彼
「隆はなんかにや付きながら帰ったよ。あとはよろしくとか言って」
彼の言い方から察するに、今回の訪問について、わたしは隆君の共謀者だと思われているのだろう。
アルバムを借りたいと申し出たのは事実であり、大差はないが。
「そっか」
何気ない風に返事をしたが、隆君がいないことを知って心もとない。
「早く帰ってちゃんと寝れば?」
口ぶりからは本当に心配してくれていることが伝わってきて意外に思う。
「ありがとう。でも聞きたいことがあって。お願いします」
「何?」
「昔の写真見せてくれない?小学校の卒業アルバムとか」
私は片瀬さんの瞳がゆらぐのを見逃さなかった。