記憶の中の彼


「なんでそんなもの見たいわけ?」

「いや、その。わたし人相占いにはまっているんです。

それで過去の写真と見比べたいなと思って」

見せてもらう理由が思いつかなかった。

だからといって本当の理由を言う訳にもいかない。

「へえ。それでどうして俺の人相を占わないといけないわけ?」

「それは・・・」

言葉に詰まってしまった。

「誕生日占いといい、占い好きだよね。それなら手相でも見てよ」

彼は見え透いた嘘をつくわたしをからかってきた。

会話の突破口は見えずまずいと思いつつ、以前にわたしが話したことを覚えてくれているなどと呑気なことを考えてしまう。

「ごめんなさい、嘘です。でも片瀬さんには興味があるのは本当。どうしても見せてほしいの」
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