記憶の中の彼


開いて見ると待ち受け画面上部のトップニュースにはこの区域が停電していることがあった。

「やっぱりこのあたりが停電しているらしい」

言いながら片瀬さんに画面を見せた。

「外見てみる」

片瀬さんが窓を開けて外をのぞく。

「確かに周りの家も電気ついてない。どうする?」

「迷惑だろうから私帰った方がいいよね」

「そっちの家も停電してるんじゃない。しばらくここにいてもいいけど」

私が怖がっていることに気付いてくれたのだろうか。

「でも悪いし、わたしは大丈夫」

気まずい気持ちと申し訳ない気持ちから強がってみた。

いいから、しばらく家にいろよ」

彼は少し強引な口調になった。



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