記憶の中の彼
The Case Seems To End
「お待たせ」
声をかけるとパッ顔を上げた隆君がこちらに向かって手を振った。
わたしたちは再び学校近くのカフェで待ち合わせしたのだ。
電話やメールのやりとりだけでも構わないのだが、直接話そうと隆君が誘ってくれたのだ。
先に座っていた隆君はカプチーノを飲んでいた。
わたしはストレートティー。甘い飲み物は好まないため、紅茶もコーヒーもストレートにこだわる。
「片瀬さんはね、やっぱり陸じゃなかったよ。なんだかんだで隆君と一緒に訪問した翌々日に、卒業アルバムを見せてもらったの。そうしたら、ちゃんと片瀬さんが写っていた。陸とそっくりだったけれど、違う小学校だし、髪型が違ったの。家を出発する前に陸の写真を見てから行ったから、間違いない」
わたしは隆君に話しながら、落胆した気持ちを実感した。
「あとね、本人に直接聞いちゃったの。わたしに似た人と写っている写真を持っているかって。もちろん、隆君に聞いたとは言っていないけれどごめんね」
「それは大丈夫だよ。それで?」
隆君は一瞬表情を緩めた。