記憶の中の彼
「わたしね、その子のことが好きだった」
「そうなんだ。いつの知り合い?」
「えっとね、小学4年から中2まで同じクラスだったよ」
「5年間同じクラスだったんだ。すごい。ずっと好きだったの?」
「うん、たぶん小4から」
「一途だね。その人のこと本当に好きだったんだね」
「うん、大好きだった」
美希がほほえんだ。
「そういえばさ、新学期って何日からだったっけ?」
わたしは意図的に話題を変えた。
もっと陸のことを話したい気がする一方、それ以上話せる自信もなかったのだ。
わたしは小学4年生のときに転校した。
陸とはその転校先の4年2組で出会った。
3年生から4年生のクラスは持ち上がりであるため、メンバーは変わらず、担任の教師も同じであったそうだ。
そこにわたしが加わったのだ。