イケメン 一家に囲まれて

美咲の言われた通り、家の前で待っていた。

戸村さんは、出掛けると言ったらいつもより丁寧にメイクをし始めて、服もオシャレなのに着せ替えられた。


そして最後に…。

「玉の輿だ!玉の輿!」

とか言って来た。

ただの男友達なのに…。

それにしても、何で家の外?

ボーと空を眺めていたら、遠くから車の音がした。


車の音がする方向を見れば白い車がこちらに来ている。


だんだんと近づいてきてわかった。

白い車は高級車。

私の目の前で止まった。

車内から年老いた男性運転手が出てきて、後ろのドアを開ける。


「やぁ、まった?」

やはりお前か!

「いや、全然」

さっき家出たばっかりですから…。

「さぁ、中に入って」

車内に入る前に…。

「どうも、美咲くんの友達の立花 唄です、今日宜しくお願いします」


「これはこれは、礼儀のいいお嬢さんで、美咲お坊ちゃんにいいご友人が出来ましたなさぁ、外は寒いですから早く中に」


優しい、運転手さんに急かされ車内に乗り込む。


「爺や、昨日言った所にお願いね」

「はい、かしこまりました」

おぉ…戸村さんとは大違いだなぁ。

「爺やの自己紹介かまだだね…」

「私は爺やとお呼びください」

美咲が自己紹介しようとした瞬間それを避けた。


何でだ?

「爺や、自分の名前が嫌いなんだすごい面白い名前だからね」


「美由お坊ちゃん!爺やを怒らせないでくださいね!唄様いつかお教えいたしますね」


「は、はい」

そんな、変な名前なのかな?

何だろう?


< 148 / 196 >

この作品をシェア

pagetop