イケメン 一家に囲まれて
迷った私も悪いけれど、少しくらいこの家の構造とか教えてくれてもいいじゃん‼︎
心に愚痴をこぼしながらまた数十分。
やっと戸村さんの元へ来た。
「と、戸村さん‼︎」
「思ったより遅いので心配しました」
「ここの家広すぎて…」
戸村さんは目を大きく開けパチクリさせると、あっそうだ、みたいな顔をした。
「すいません、私とした事がこの家は迷わない方がおかしいので安心してください地図あげますね」
迷う方がおかしいと思うのですが…
とりあいず喜んで地図を受け取り、広げてみる。
地図はノートくらいの大きさで10ページあった。
一階〜二階まで丁寧に書いてあった。
ここの主人の名前だ。
「これから主人に会って頂きます、何があっても敬語は崩さないでください、いいですね?」
「はい」
この美味しい話を飲んでここへ来たからには腹をくくってなんでもやらなくっちゃ‼︎
地図を見ながら後ろを付いて行くとデカイ扉の前にについた。
地図で確認するとリビングだった。
「ここに主人の皆さんがいます、くれぐれも失礼のないように」
「わかりました」
初っ端からミスなんてしてられないよね。
ガチャ…
中に入ると、大きな机にソファー。
大きなテレビまで、天井には大きなシャンデリアと数々の調度品までもあった。
ここにあるものだけで何千万もしそうなものばかり…
はっ!
ルンバが2台ある‼︎
広いもんなこのリビング…
「立花さん自己紹介を」
「はい」
主人?の人達の前に出て口を開ける。
「初めまして、今日からここで働く事になりました、立花 唄ですよろしくお願いします」
頭を下げ、挨拶をする。
「よろしく」
その声とともに顔を上げる。
イケメン…と思ったのもつかの間さっきの感じの悪い男もいた。
いいなぁ、お金持ちで顔も良くて恵まれてる。
まぁ、この人達とは上手くやれそうだ。
イケメンでお金持ち、誰もが…
キャッ!お金持ちでイケメン!恋の予感‼︎
なんてウハウハ☆パッションピンクみたいなの恋を浮かべると思うけど…
私は学校の話になるんだけど…
私は学校で金持ちの男と女にいじめられて、クラスの中での対象だった。
だから転入する事に悲しくもなくて、しかもいじめっ子のお金持ちが、イケメンと美女だったからトラウマでしかなく…
恋も抱かない、それに地位が違いすぎるし私には安心の一線だ。
この、美味しい話を無駄にしなくて済む一線だから。