イケメン 一家に囲まれて
暗い重たい空気に耐えられるわけもなく逃げるように部屋に来た私。
何もすることもなくボーとする。
窓から見える空は暗く雪が降りそうだった。
コンコン
「はい?」
誰だろう?
戸村さんかな?
返事をするとドアが開いた。
「お風呂いいよ」
「えっ…はい!」
まさか、誠哉さんが来るとは思わず体がこわばる。
「君が知りたければ教えようか?」
「えっ?」
「僕のこと…」
まさか…教えてくれるとは思わなくて…
これが彼なりの優しさなのだろうか?
「大丈夫です」
「ふーん」
「誠哉様がお話になりたい時にお話しください」
そう、私は白川家の家のこと、人間関係のこと昔のこと彼らのことを知りたくてきたんじゃない。
お金を稼ぎに来たんだよ。
そう言っているのになぜか無性にこの家のことを知りたくなるのは何故だろう。