涙色
ギュッと夢羽を抱きしめた。
「大丈夫。大丈夫だから。」
あいつは優しく声をかける。
「ぁ・・・や、だ。ぃや・・・ごめ、なさ」
夢羽がどんなに嫌がっても離さない。
「大丈夫。夢羽落ち着いて。ココにいるのは、夢羽が思ってる人じゃない。」
「っおと、さんじゃ・・・な、い?」
あいつの言葉に夢羽の瞳が揺らいだ。
「違うよ」
「は、るき・・・?」
夢羽の目が見開かれて、あいつの名前を呼んだ。
震えも少し弱まって。
「うん。大丈夫だから、ね?」
春輝は夢羽の背中を規則正しく叩く。
「う、ん・・・」
ボロボロと夢羽の目から雫が落ちる。
「ごめ、もう大丈夫・・・」
そう言って、夢羽は春輝から離れた。
「うん。落ち着いた?」
春輝の問いかけに夢羽はコクンと頷いた。
「飛鳥・・・さっきは、ごめんね」
「ぇ、ああ・・・大丈夫だ。」
おそらく俺に対して怯えてた時のことだろう。
「夢羽、今日はもう帰ろうか。」
「うん。わかった・・・でも、家はやだ」
は?
家族と喧嘩でもしたのか?
なんで家がイヤなんだ?
「・・・うん、わかった。じゃあ倉庫に行こうか。」
春輝は夢羽の手をつかんで立ち上がった。
そして、倉庫に向かう。
もちろんバイクで。
飛鳥side end