涙色


口々に挨拶をする下っ端君たちに返事をする。


階段を上ったところにある幹部室のドアを開けた。


「夢羽!お前学校サボったのかよ〜」


まだ午前中なのに倉庫に来た私。


そんな私に透理は笑いながら言った。



「うん、サボっちゃった!・・・てか、みんなサボってるじゃん」



大丈夫。


いつも通りだよ。


バレてない。


嘘つくのは得意だもん。


私の言葉にみんなが笑った。


ほらね、バレてない。


–––––ガチャ


春輝と飛鳥が部屋に入ってきた。


「おー、2人ともおかえりー」


「あ、春輝、飛鳥!」


私も微笑む。


それからもいつも通り、ご飯を食べたりトランプしたりした。


–––そして。


「あっ、もうこんな時間!私帰る!」


私は時計を見て驚いた。


だってもう午後11時だったから。


「・・・ホントだ。ごめんね、気づかなくて。帰ろうか。」


「うん!」


春輝が立ち上がる。


それを見て、私も立ち上がった。


「じゃあね!また明日!」


みんなにも「また明日」と言われながら倉庫を出た。


バイクに乗って家の近くのコンビニに行く。


「夢羽降りてー」


「ん、ありがと」


私はバイクから降りた。


「・・・なんか、今日はごめんね?迷惑かけちゃって。ありがとう。」


私は微笑んだ。


「大丈夫だよ。迷惑じゃない。・・・無理しないでね」


春輝のその言葉が、胸に響く。


「無理しないでね」、か・・・。


それは守れないよ。


ゴメンね。


「うん、わかった!・・・じゃあね!おやすみー!」


私はマンションに向かって歩き出した。





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