涙色


どこまで話す?


たぶん、これは推測だけど麻結美さんに会ったから夢羽が過去を思い出したんだと思う。


だから、言った方がいい、のか。


「・・・一昨日のことなんだけど。2人ででかけた後に寄り道したんだ。」


みんなは俺のことを見て、真剣に話を聞いてくれる。


「そこで、ある女の人に会った。その人は、麻結美さん。夢羽は麻結美さんに対して過剰に反応してた。・・・ずっと謝ってた」


「謝る?」


みんなが眉間にシワを寄せる。


「・・・ごめんなさい、私のせいって。––––これは言っていいのわかんないけど、夢羽が、"あの日私たちを轢いたのは私のお父さんなの"って。」


「あの日・・・私たち?」


「・・・そう。たぶん裕磨って人。それで、麻結美さんは裕磨のお母さん。裕磨は夢羽の元カレ。夢羽のペンダントに書いてあった人。」


みんなは目を見開いた。


これは、夢羽の過去に関係がある話。


夢羽の過去がこれだけではないだろうけど、たぶんこれも夢羽のトラウマになっているもの。


「たぶん夢羽は、感じなくていい罪悪感を、責任感を、感じてる。」


「・・・わかった。それを、少しでも軽くすればいいんだろ?」


厨二病の透理は、たまにいいことを言う。


「・・・うん。っでも」


「わかってる。無理には聞かねぇよ。」


あぁ。


余計な心配だったか。


「・・・うん。あと、今日のこと、なんだけど。」


これは、本当に推測でしかない。


だって何があったのか、なにも知らないから。
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