涙色
3章
鳴り響く
夢羽side
私がお父さんと春輝達を重ねてしまったあの日から、1ヶ月がたった。
特になにもなく、私も平常心を取り戻した。
"あのこと"について、春輝達が深く聞く事はなかったし、聞かれても困る。
だってまだ言えないから。
まだ、過去を過去に、"思い出"に出来ていないから。
最近は見なくなった夢。
あの日を境にたまに見るようになった。
嫌で嫌で仕方が無いのに、勝手に出てくるソレは私を同様させるのには大きすぎるもので。
朝起きると泣いていることが何回もあった。
それでも、なんとか泣いたことを隠しとおして過ごしてきた。
私は勉強机と向かい合う。
そして、テストの課題とにらめっこ。
さっきから全く進んでいない。
勉強し始めてもう1時間経つのに、数学の課題は二ページしか進まない。
ポキンと折れた芯に、腹が立つ。
「あー、もう!なんで折れるの!?」
なんて、意味不明なことで起こっている私。
今日は勉強できない日なんだ。
自分の中で勝手に解釈をして、勉強道具を片付けた。
テストまであと1週間なのに。
課題が終わるかわかんないのに、はかどらない。
––––もう寝ようかなぁ。
私は椅子から立ち上がり、ベッドに向かう。