涙色
ねぇ、捕まったんじゃないの?
麻薬を使って、私たちのことを轢いて。
捕まったんでしょ?
––––お父さん。
それなのにどうしてここにいるの?
釈放されたから?
なんで私の家を知ってるの?
––––どうしてここに来たの?
また、また・・・!
またあんな生活に戻るの?
そんなの、イヤだ・・・!
鳴り止まないインターホン。
ソレはまだお父さんがいることを示していて。
「助けて・・・っ」
誰か、助けて・・・。
私は部屋のカーテンを締め切った。
マンションだから、玄関までは来れないはず。
たぶん今はロビーの所にいるはず。
だって下でインターホンを押して開けてもらわないと、マンション内に入れないから。
それでも怖くて。
私は玄関のドアに鍵とチェーンをかけた。
窓の鍵をすべて閉めた。