涙色

夢羽の影

––––––––––––––––

––––––––––


私はいじめられっ子だった。


『うわ、まだ来てるよ〜』


『いい加減死んでくれないかなぁ』


『なんで来るわけ?けがれる〜』


いじめられ始めたのは小学3年生の時。


どうしていじめられるようになったのかはわからない。


始まりは突然で。


私はただ耐えることしかできなかった。


その頃の私の問題はそれだけではなかった。


–––––––私の家は周りから見たら普通の家族だった。


でも、本当は違う。


私の家は普通じゃない。


––––––私のせいで結婚しなければならなくなった家。


望まれて生まれたわけでもなければ、望んで家族になったわけでもない。


名前だけの家族だった。


必要最低限しかお互いに仕事をしない。


お母さんは、家事。


お父さんは、仕事。


すべて、必要最低限。


私も話しかけられることなんてなかったし、話しかけたら怒られた。


怒られるたびに言われる言葉。


『あんたさえいなければ、あんなやつと結婚なんかしなくてすんだのに!』


お母さんにもお父さんにも言われていた。
< 119 / 161 >

この作品をシェア

pagetop