涙色


気づいたら裕磨のことを好きになっていて。


下校中、裕磨に告白されて私たちは付き合った。


誰にもみつからないように。


裕磨にはすべてを話した。


もちろん親に虐待されていることも。


『気付けなくてごめん。これからは俺が守るから。』


裕磨は私のことを抱きしめながらそう言ってくれた。


自然と涙が出てきて。


それは何年ぶりかの涙だった。


それからはとても楽しかった。


毎日笑って過ごした。


いじめがなくなることは無かったし、なくして欲しいとも思わなかった。


裕磨がいればなんでも乗り越えられたから。


毎日が輝いて見えた。


モノクロだった世界は、カラーになって。


でも、そんな日々も長くは続かなかった。
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