涙色


目を覚ました私は、なにがあったのか考えた。


なんでここにいるのか。


そもそもここはどこなのか。


起きたばかりの頭を使って、ここは病院だと理解した。


そして、車に轢かれたのだと。


裕磨は・・・?


裕磨はどこにいるんだろう。


私の頭は裕磨でいっぱいだった。


–––––ガラッ


音を立てて開いたドア。


そこには知らないおばさんがいた。


『あら、起きたのね。良かった。』


そう言っておばさんは微笑んだ。


私はおばさんが誰なのかわからなかった。


この人に会ったことあったっけ?


会ったことは無いはずだ。


だって親戚は私に話しかけてくれないのだから。


『あぁ。私はね––––––––裕磨の母親よ。瀬良麻結美。』


『裕磨の、お母さん・・・』


私からか細い、小さな小さな声が出た。


『裕磨は・・・?』


私は麻結美さんに、聞いた。


聞いてはいけないような気がして。


それでもやっぱり知りたくて。


私は麻結美さんに尋ねたんだ。
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