涙色


ねぇ、お母さんなにするの?


ねぇ、お母さんいつも通りに戻ってよ。


お母さんは私の頭を湯船につけた。


入浴剤で、青く染まったお湯。


私の視界は真っ青になった。


息が吸えない。


苦しい。


必死に外に出ようとするけれど、お母さんに頭を押さえつけられて、出られない。


お母さんは、突然私の頭を湯船の外に出して。


『なんで死なないの?』


冷たい声で、冷たい目で、そう言った。


『あんたなんか、生きてることが間違いなのよ!まだわからないの!?あんたがいることでみんなが迷惑なの!!』


お母さんは悲痛な声で叫んだ。


そっか。


私は生きてるだけで迷惑なんだ。


私はお母さんの言葉に納得した。


だって、誰にも必要とされてない私。


私のせいで怪我をした男子。


私のせいで死んだ裕磨。


全部全部、私が悪い。


でも。


それでも、心のどこかで生きたいと思っている自分がいて。


中学校で必ずつけなければならない防犯ブザー。


私はそれを鳴らして、開いていた窓から外に投げた。


そしてたくさん息を吸って。


自分が出せる一番大きい声で。


『助けて!!!!』


叫んだ。
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