涙色


私の声を聞いた瞬間、お母さんは私の頭を湯船につけた。


また、息が吸えなくなって。


苦しい。


肺が痛い。


涙が出てくる。


私の涙はお湯に溶けて。


意識が途切れる直前に、頭を抑える力がなくなって。


私はお湯の外に出た。


『はっ・・・ゲホッ・・・は、はぁ』


お母さんの方を向くと、そこには近所のおじさんがいて。


『夢羽ちゃんは外に出なさい!!』


そう言った。


私は急いで外に出た。


お風呂の外に出ると、そこには近所のおばさんがいて。


確かこの2人は夫婦だったな、なんて呑気に考えた。


『夢羽ちゃんっ』


おばさんは、タオルで私のことを拭いてくれて。


『警察呼んだから、もう大丈夫よ。・・・怖かったでしょう?』


そう言って優しく笑ってくれた。


その笑顔に、私は安心して。


自然と涙が零れた。


その後すぐに警察がきて。


お母さんは精神科に入院することになった。


私はお母さんと会ったらいけないと言われて。
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