涙色

白と1歩



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「その後、私はお母さんのお姉さん。つまり、私のおばさんに引き取られた。でも、一緒には暮らしたくないって言われて、お金は上げるし、マンションも用意したから一人暮らししてって言われたんだ。」


結局私はいらない子だった。


結局私は汚い子だった。


「いつの間にか私の中に感情は残ってなかった。」


見える世界はモノクロで。


涙も出ない。


笑えない。


「近かったから、今の高校に行って。桜嵐の姫になって。・・・まぁ、裏切られちゃったんだけどね。」


私は信じてたんだけどね。


みんなに信じてもらえてなかったみたい。


「ホント、バカみたい。・・・裏切られるってわかってたのに。人を信じちゃダメだって知ってたのに。」


それでも信じてしまった私。


なんで信じちゃったんだろう。


「私は信じてたんだけどね。・・・結局私は必要なくて、汚い人間だったんだって。」


私はそう言って、笑った。


ちゃんと笑えていたかはわからないけれど。


私は窓の外に目を向けた。


「あの窓から飛び降りたら、死ねるかなって。学校から飛び降りようかなって。首でもつろうかなって。何度も死ぬことを考えた。」


早く裕磨の元にいきたかった。


生きていたくなかった。


「でも結局死ねなかった。」


私はハハッと笑った。


「私は生きてちゃダメなのに。私は死なないといけないのに・・・!!それなのに私は––––」


「夢羽、もういいよ」


頭に手が乗せられて。


春輝の優しい声が聞こえた。


自然と強く瞑っていた目。


私はそうっと目を開けた。


「夢羽、今までよく頑張ったね。辛かったでしょ?」


「っう、ん」


視界が涙で歪む。


「夢羽ちゃん、話してくれてありがとう。」


佳正の言葉に涙を堪えながら首を振る。


「だから俺が殴ろうとした時・・・」


飛鳥が言っているのはたぶん初めてあった時のことだろう。


「・・・お父さんと、重なっちゃって。ごめん」
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