涙色
助けて
「あのね、最近家に帰らなかったのは、マンションにお父さんが来たからなの。」
私の言葉に、みんなは目を見開いた。
そりゃそうだよね。
過去の話を聞いた直後に、こんな事言われたら。
「・・・夢羽、それ大丈夫なのか?」
一番最初に口を開いたのは雅人だった。
「・・・大丈夫ではないかな。」
そう言って私はハハッと笑った。
「まぁでも服ももうないし。お父さんも諦めたかもしれないし。・・・今日からはちゃんと家に帰る。」
私はにこっと微笑んだ。
本当は怖い。
だって自分が何されるかわからない。
お父さんは、一歩間違えば私を殺していた。
それに関してはお母さんもだけど。
私にとって家族は恐怖でしかない。
だって、私は両親に殺されかけたから。
今だって、怖い。
家に帰ったらいるかもしれない。
もしかしたら・・・。
そう考えると、怖くて怖くて。
でも心配をかけないために、私は平気なふりをしなくちゃ。
私は大丈夫。
全然平気。
お父さんはもういないよ。
大丈夫。
私は自分に言い聞かせた。