涙色


「よぉ。お前、俺のことを無視するなんて、いい度胸だなぁ?」


少しずつ、近づいてくるお父さん。


逃げないといけないとわかっているのに。


––––––体が動かない。


春輝、助けて・・・。


「・・・おい。無視してんじゃねぇよ!!」


「ッ!!!」


痛い。


痛いよ。


私は蹴り飛ばされて。


床に転がった。


なんで、感情なんか持ってしまったんだろう。


感情なんてなければ・・・。


っ違う!!


感情がある事は悪いことじゃない。


それなのに。


頭ではわかっているのに。


心では、理解出来ない。


感情なんかいらないって思ってしまう。


「っや、やだ!やめ、てっ!!」


せめてもの抵抗で、私は反抗した。


昔は出来なかったこと。


助けて、裕磨。


助けてよ。


・・・春輝。
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