涙色


学校に登校している時だった。


歩いていた私の横に止められた、黒いワゴン車。


・・・なに?


危ない、気がする。


ていうか、絶対危ないよね・・・?


私は足早に通り過ぎようとした。


–––––のに。


突然開いたドア。


「よぉ」


車の中から出てきたのは、奏太だった。


なんで。


どうして、関わるの。


「なぁ、ちょっと来てくんねぇ?」


私のことを冷たい目で見ている奏太。


「い、や。」


声が、震える。


怖くて。


「ふぅん。・・・じゃあ、強行突破しかねぇかな。」


気づいた時には、もう、手遅れで。


私はみぞおちを膝で蹴られた。


「いっ!?」


体が倒れていく。


意識が、遠のく。


途切れる意識の寸前。


チラッと視界に入った奏太は、冷たい目で笑っていた。
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