涙色


自然とこぼれた言葉。


––––ガチャ


ドアが開いて。


中に入ってくるその人は。


とても冷たい目で、私を見た。


「起きたんだ」


「しゅん、き・・・」


駿生が私のことを冷たい目で見る。


冷たい、冷たい目で・・・。


「名前で呼ばないで。気持ち悪い。」


仲間、だったのに・・・?


名前ですら呼ばせてもらえないの?


「深瀬、くん。・・・ごめん。」


これは、敵だから?


それとも、裏切り者だから?


「川崎さんは人質だから。これから翠嵐と交戦すんの。・・・あ、もう電話したよ」


クスクスと笑う駿生には恐怖しか抱けない。


「もうすぐ来るんじゃない?」


なにがおかしいのか、ずっと笑っている駿生。


面白いことなんてないのに。


笑っているはずなのに、目は冷たくて。


ねぇ、そんなに嫌い?


仮にも仲間だったよね?


私は、仲間じゃなかった?


ずっと嫌いだったの–––––?
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