涙色
────ガッシャーン!!
すごい音が響き渡って。
「来たみたいだねぇ」
そう言ってクスクスと笑う駿生。
「・・・なにが、そんなに面白いの。」
震える手を隠すように強く握りしめて、声を出す。
「え?んー・・・。それはねぇ?・・・アンタの顔が悲しみに、苦しみに歪んでいくのが楽しいんだよ!」
「っ!!」
駿生は本気でそう思ってるんだ・・・。
駿生の顔が、声色が、ソレを示している。
────ガチャ
「来て」
「ぅわっ!?」
ドアを開けて入ってきたのは奏太。
そして、言葉とともに私の腕を引っ張った。
足がもつれる。
引かれる腕が痛い。
「や、めてよ!はなして!」
私が声を荒らげる。
「・・・黙れよ。裏切り者の分際で、俺に反発するわけ?」
まるで、喧嘩する時のような目でそう言った奏太に、恐怖を覚えた。
奏太はなんでそんなに変わってしまったの?
なにがそんなに変えてしまったの?
「言っとくけど。こんな交戦して、みんなが傷つくのは全部────お前のせいだから。」
ドクンッと心臓が不規則に動く。
心臓が、肺が、握りつぶされるように痛い。
私のせいなら。
私がいなければ。
私が。
いなくなれば────。
「夢羽!!!」
「っまさ、と・・・」
息を切らした雅人が私たちの前にいた。
まだ、距離はある。
「てめぇ、夢羽になにした!?」
「なーんにも?」
クスクスと余裕そうに笑う奏太と、怒っている雅人。
こんな風に、2人が言い合いをしているのも、私のせい?
「じゃあなんで夢羽が・・・!っそんな震えてんだよ!?なんで、闇に染まってんだよ!?」
「さぁ?勝手にショック受けてただけじゃん。なに怒ってんの?・・・こいつなんか生きてる価値もない、いらない奴なのに。」
────ドクンッ
また、心臓が不規則に鳴る。
「ぁ、っちが、う・・・!!」
「夢羽・・・?」
私の目に映るのは、困惑した雅人と、余裕そうに笑っている奏太で。