涙色


「なにが違うんだよ。てめぇがいらねぇっつーのは前から分かってた事だろ?・・・両親に殺されかけたくせに。いじめられてたくせに。」


────ドクンッ


また、また・・・。


「赤石、てめぇ!!夢羽、ちげぇよ!お前はいらなくなんかねぇ!」


雅人の言葉が耳に入る。


違う。


私はいらなくなんかない!


みんなだって、そう言ってくれているんだ!


「なにが、"いらなくない"だよ。コイツはいらねぇの。」


「っちが、う。・・・私は、いらなくなんか、ない!」


「ハッ何言ってんの?お前はいらないじゃん。俺さ、お前の過去聞いて可愛そうだと思った。けどな、今はお前をそんな目にした奴らが賢いと思うぜ?」


「なっ!赤石!」


違う。


違う。


そんなわけない。


だって、だって!!


"いらない"なんて言わないで。


「だってお前は汚ねぇし。お前なんかいらねぇ存在だろ?お前なんか死ねば────」


「ち、違うッ!!!違う違う違う!!私は、いらなくなんかない!」


私は奏太を突き飛ばした。


────ガンッ


奏太は端に置いてあったものにぶつかった。


「ってぇ」


そう言って抑えた奏太のこめかみあたりからは血が出ていた。


「夢羽っ!」


雅人が私に駆け寄ってくる。


でもそんなの気にならない。


「夢羽、夢羽!?」


私の名前を呼びながら肩を揺らす雅人。


それに答えられないほど、私の心は過去にあった。


「あ、ごめっ・・・。ぅ、あ・・・っ私のせ、い」


「違う!夢羽のせいじゃねぇよ!」



血を流している彼は、誰────?


小学校の時のあの子?


全く同じ状況で。


「い、や・・・っいや、いやぁぁぁあ!!!」


私の声が響く。


私の声に反応して、春輝達や亮平達がやってくる。


「なっ、おい!?なにがあった!!」


動揺しているのは、どちらも同じで。


春輝達は私に、亮平達は奏太に駆け寄った。


「っは、はぁ・・・ごめ、ごめんなさっ」


「夢羽!?・・・大丈夫。大丈夫だから。」


私の背中を摩ってくれるのは、誰・・・?


私の周りにいるのは、私をいじめていた人たち?


それとも────。





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