涙色

真実



春輝side


「・・・っお前ら夢羽になにした?なにを言った?」


いつもとは違う口調。


いつもとは違う雰囲気。


これが本当に怒ったときの俺で。


あまりの変わりように驚いたのか、目を見開いて俺を見ている桜嵐の奴ら。


「何言ったのか聞いてんだよ!」


「っお、れが夢羽に────」


「あれ?みんななにしてるの〜?」


倉庫に響いた甘ったるい声。


その声の主は。


「明希!!なんで来たんだよ!?今日は来んなっつったろ!?」


明らかに動揺している桜嵐。


木村亮平と石田響を除いて。


2人は冷たい目で夏目明希を見ていた。


「っ奏太!!」


桜嵐副総長の赤石奏太を見て、走ってくる夏目明希。


なんだよこの茶番は。


どうせ、演技なんだろ?


「奏太!大丈夫?血がっ・・・」


赤石奏太に目線を合わせて話すソイツに、俺は反吐が出そうだ。


だってよ、すべてが演技で。


あんなヘタクソな演技で騙されている3人が、可哀想に思えてくる。


「明希」


喧嘩している時のような低い声で、木村亮平が名前を呼んだ。


バカな女は木村亮平の怒りに気づかない。


「なに?」


ヘラヘラ笑って、木村亮平の顔を見て────固まった。
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