涙色
「・・・おい」
俺は、呆然としている桜嵐の奴らに声をかける。
そんな俺の声にはっとして、俺のことを見た。
「・・・夢羽に、何を言った。」
俺の怒りは沈んでいない。
「っ・・・!」
顔をしかめた赤石に腹が立つ。
「なんて言ったんだよ。」
地を這うような、低い声。
「っお、れが。俺が・・・、夢羽に、いらないって言ったんだ・・・」
夢羽に"いらない"なんて言った?
なぜ?
だってコイツは、夢羽の過去を知っていたんじゃないのか?
それなのに、なぜそんな言葉を言えた?
聞きたい事は山ほどある。
いや、聞きたいというより問い詰めたいのか。
「なんで、そんな事言った?」
ビクッと肩を揺らした。
「・・・傷つけばいいと思ったんだ。前にも、1回同じことしたのに。明希を傷つけたんだから、これくらい当然だって・・・。でも、夢羽は、裏切ってなかったッ!」
自分を責めている赤石。
でも今一番辛いのは赤石じゃない。
夢羽なんだよ。
過去を思い出して、それでも心の中で葛藤して。
それがどれだけ辛いのかわからないのか?
俺が口を開いた時だった。
「・・・んっ」
俺の腕の中で気を失っていた夢羽が、目を覚ましたのだ。
春輝side end