涙色
桜と翠
夢羽side
目を開けると、まず最初に、心配そうに私のことを見ている春輝が目に入った。
「・・・大丈夫?」
「・・・うん」
声をかけてくれた春輝に、少し笑って答えた。
そして────。
私は、奏太のことを見た。
「・・・奏太」
私は、立ち上がった。
それに伴って、春輝も立ち上がる。
奏太は私のことを見た。
その顔は、全てを、真実を、知ったようだった。
「・・・ごめんね。怪我させちゃって。」
"汚い"も、"いらない"も、言われて当然の私。
今まで、嫌な事はたくさんされた。
でも、今は私が悪いから。
私が、奏太に怪我を負わせてしまったから。
「・・・大丈夫。それに、夢羽が謝ることは無いんだ。全部、俺が悪いんだよ。」
そう言った奏太の顔は、とても悲しそうだった。
やっぱり、真実を全て知ったんでしょ?
「・・・夢羽は裏切ってなんかなかったのに。酷いことして、ごめんな。」
「・・・・・・俺も!っ俺も、ごめん!」
頭を下げる奏太と駿生。
「俺も、ごめんね?」
そう言って、李都も頭を下げた。
「・・・悪かった。夢羽のこと、信じてやれなくて。本当は、途中から気づいてたんだ。でも、俺は、自分の身を守るために言えなかった。────違うな。・・・言わなかった。」
亮平の顔は、悲しそうに歪んでいて。
本当のことなんだと、すぐにわかった。