涙色
5章
ホントの気持ち
「・・・倉庫に行くの?」
私は、春輝に尋ねた。
「・・・今日はもう帰ろう。疲れてるでしょ?」
信号で止まってから、春輝は私の方を向いて答える。
そう、だよね。
寂しいなんて言えない。
倉庫でみんなと居たいなんて言えないよ。
「・・・うん。わかった!」
私は、笑顔を見せる。
バイクが動き出す。
家にはどんどん近づいていって。
それにつれて、私の心はどんどん重くなっていく。
嫌だ。
帰りたくない。
でも、こんなわがまま言って困らせたくない。
迷惑なんか、かけたくない。
「・・・着いたよ」
いつの間にか家の前についていて。
「・・・今日は、なんかごめんね。迷惑かけちゃって。」
私は、ペンダントを握りしめた。
「・・・じゃあねっ!」
私はマンションに向かって歩く。
あと1歩で、マンション。
その時だった。
────パシッ
「・・・え?」
春輝に、手を掴まれて。
「・・・夢羽、俺さ。」
春輝の言葉に胸が踊る。
心臓が、速く、速く、動く。
・・・なにこれ。
めっちゃ緊張するんだけど。
「・・・俺、ずっと前からさ、夢羽のこと。」
春輝が1度視線を地面に落とす。
そして、また、私の目を見た。
「・・・っ好きだった。」