涙色


すっと通り過ぎた駿生と奏太。


バレなかった・・・?


よかった・・・。


でも、音たてちゃダメだ。


それでバレちゃう。


そっと動き出そうとした、その時。


「さっき俺らあいつにあったぜ?裏切り者。」


"裏切り者"


その言葉にビクッと肩が上がる。


「な、駿生。ウザかったよな。」


っ奏太・・・。


「あ〜もうマジ消えてくんねぇかな〜」


「それは僕も思う!!」


そう言ってみんなが笑う。


笑って笑って。


ひとしきり笑った後。


「・・・で?さっきからそこで盗み聞きしてるよね?裏切り者ちゃん。」


「っ・・・!!」


知ってたの?


知っててそんなこと言ってたの?


みんなにとって私はなに?


なんだった?


そんなに消えて欲しい人だったの?


私は・・・


私は––––––––––・・・


ガチャッと音を立てて扉が開く。


「ねぇ?そこでずっと盗み聞きしてたよね?裏切り者ちゃん。」


「奏、太・・・」


「名前をよばないでくれるかな?気持ち悪い。」


「っ!!」


やだ。


怖い怖い怖い。


仲間だったでしょう?


それなのに。


たった2週間でこんなにも態度が冷たくなるの?


それとも、私が"裏切り者"だから?


「ねえ、川崎さん。もう関わらないでくれる?川崎さんみたいな汚いヤツなんて、俺らはいらないんだよね。・・・てゆーか、誰も必要としてないよ?川崎さんはいらないんだから。」


「あ、・・・いら、ない・・・?き、たない・・・」


カタカタと手が、体が、震え出す。

< 24 / 161 >

この作品をシェア

pagetop