涙色
すっと通り過ぎた駿生と奏太。
バレなかった・・・?
よかった・・・。
でも、音たてちゃダメだ。
それでバレちゃう。
そっと動き出そうとした、その時。
「さっき俺らあいつにあったぜ?裏切り者。」
"裏切り者"
その言葉にビクッと肩が上がる。
「な、駿生。ウザかったよな。」
っ奏太・・・。
「あ〜もうマジ消えてくんねぇかな〜」
「それは僕も思う!!」
そう言ってみんなが笑う。
笑って笑って。
ひとしきり笑った後。
「・・・で?さっきからそこで盗み聞きしてるよね?裏切り者ちゃん。」
「っ・・・!!」
知ってたの?
知っててそんなこと言ってたの?
みんなにとって私はなに?
なんだった?
そんなに消えて欲しい人だったの?
私は・・・
私は––––––––––・・・
ガチャッと音を立てて扉が開く。
「ねぇ?そこでずっと盗み聞きしてたよね?裏切り者ちゃん。」
「奏、太・・・」
「名前をよばないでくれるかな?気持ち悪い。」
「っ!!」
やだ。
怖い怖い怖い。
仲間だったでしょう?
それなのに。
たった2週間でこんなにも態度が冷たくなるの?
それとも、私が"裏切り者"だから?
「ねえ、川崎さん。もう関わらないでくれる?川崎さんみたいな汚いヤツなんて、俺らはいらないんだよね。・・・てゆーか、誰も必要としてないよ?川崎さんはいらないんだから。」
「あ、・・・いら、ない・・・?き、たない・・・」
カタカタと手が、体が、震え出す。