涙色
「あ、あ・・・ごめ、なさ・・・っごめん、なさ、い・・・わ、たし、汚、いか、ら・・・」
苦しい。
息が出来ない。
過去と重なる。
目の前にいるのは誰?
奏太がいたはずなのに。
あの人と、重なってしまう。
怖い。
怖いよ・・・。
「おい?・・・どうしたんだよ?」
そう言って手を差し伸べてくる。
やだやだやだ。
「あ・・・いや!!さわ、ら、ないでぇ!!」
パシンッと奏太の手を叩く。
「え・・・?」
「あ・・・」
私、最低だ。
いくら、あの人と重なったからって。
でも、今は、もう耐えられない。
「っごめんなさい!!!」
私はそう叫んで、階段を駆け下りた。