涙色



姫を降ろされてから2ヵ月。


自分でもよく頑張ったと思う。


でも、もう終わりにしたい。


その日の夜、私はただぼーっとしながら、歩いていた。


何もわからない。


でも。


・・・・・・・・・・・・・・・死にたい。


目的地は小さな橋。


そこは人通りが少なくて、下に川が流れてる場所。


昔は裕磨とよく来てた。


あの日から、来なくなった場所。


たどり着いた目的地で、今までのことを思い出す。


やっぱり私は生まれてこない方が良かったんだよ。


誰も必要としてくれない。


裕磨がいなければ、生きているのも嫌になる。


私には裕磨だけなの。


なのに、なんであの時。


なんでよ・・・。


神様は意地悪だ。


そんなに私を幸せにしたくなかったの?


裕磨は前に『神様が与える試練は、乗り越えられるものだけだよ。それを乗り越えれば必ず幸せになれるよ。』そう言ったよね。


でもさ、乗り越えられないよ。


何度乗り越えればいいの?


何回試練を出すの?


何回乗り越えれば、幸せになれるの?


もう無理だよ。


私は手すりに足をかけた。


「なにやってんだ?」


どこからともなく聞こえた声に、振り返る。

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