涙色


「・・・誰?」


冷たい声。


その声の主は私で。


「なにやってんの?・・・死にたいの?」


質問に答えずに、そう言った彼。


「・・・質問に答えてよ。」


質問に答えてくれないのなら、私だって答えない。


答える必要が無いでしょ?


「・・・俺は夏島春輝-Nathushima Haruki-。お前は?」


「・・・川崎夢羽。」


「川崎夢羽・・・?桜嵐の元姫か。」


その言葉にビクッと肩が揺れる。


なんだ。


全然強くなれてないじゃん。


まだまだ弱いじゃん。


強くなりたかった。


昔みたいに戻れれば、全然苦しくなかったのに・・・。


「・・・死にたいの?」


「・・・」


私はコクンと頷いた。


「じゃあ着いてきてよ。きっと楽しいよ。きっと死にたくなくなるよ。」


「・・・やだ。」


「なんで?」


「・・・・・・暴走族でしょ」


「・・・わかっちゃった?」


クスクスと笑う夏島春輝。


「夢羽、大丈夫だよ。怖いやつなんかいないよ?」


「・・・関わらないで。」


「・・・それはやだなぁ。」


「なんで。」


「だって、そんなに目が死んでる人をほっとけないもん。」


「・・・」

私はため息をついて歩き出す。


「えっ、待ってよ。どこ行くの?」


答えない。


だって帰るんだから。


夏島春輝にはついて行かない。


暴走族にはもう関わりたくない。


もう。


・・・・・・・・・・・・裏切られたくない。




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