涙色


ずっといじめは続いてる。


たまに桜嵐の幹部たちにも殴られたり蹴られたり。


何度も死のうとした。


それでも死ねなかったのは、毎日つけてるペンダントがあるから。


ある日マンションから飛び降りようと思った。


ベランダにでて、下を確認した時。


シャラッとペンダントが小さな音を立てた。


いつもは服の中に隠すようにしてつけているペンダント。


これは裕磨にもらったもの。


私に残った、たったひとつの裕磨とおそろいのもの。


まだ、中学生だった私たちは、おそろいのものなんか買えなくて。


学校で嫌われている私が、裕磨と付き合っている。


それが学校に知れ渡ってしまったら。


裕磨も、私も大変になる。


だから、キーホルダーとかは買えなかった。


私の誕生日の時。


このペンダントをもらった。


それからは宝物で。


ハートで金色のペンダント。


中を開ければ、私と裕磨のツーショット。


ハートの裏側には小さく、小さく。


Yuuma→Muu


そう掘られている。


これは、たったひとつだけのもの。


それが、毎回視界に入るんだ。


まるで、裕磨が


"死んだらダメだ。まだ、こっちに来るな。"


そう言っているような気がして。


だから、死ねなかった。



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