涙色
夜の街。
時刻は日付を変える頃だ。
少しずつ、少しずつ。
裏の世界の、不良たちが出てくるとき。
私も世間から見れば、不良になるのだろう。
でもそんなの気にしない。
なんて言われてもいい。
だから。
ひとりにしないで・・・。
「ねえ、お姉さん。」
誰か話しかけてきたけれど、こういうのには反応しない。
反応しちゃダメだ。
「ねえねえ。」
「返事しろよ!」
そう言って、私の肩をつかんで、無理やり振り向かせる。
「・・・なに。」
「うっわ!めっちゃ可愛いじゃん!ラッキー」
きも。
なんだこいつ。
「ついてこいよ」
そう言って腕を引っ張る。
力が強くて。
今は逃げられないから、相手が油断するのを待つ。
きっと隙が出来るはず。
それまで待てば。
逃げられる。
のに。
いつものやつよりも、油断しなかった。
相手が。
いつものように逃げられなかった。
だから、かな。
夏島春輝にあったのも、ペンダントを見られたのも。