涙色


男がペンダントに指をかける。


「っやめて!!!」


ペンダントを触らせたくない。


ペンダントを触るその手を振り払いたい。


けど、押さえつけられている手は動かなくて。


やだ。


やだよ・・・。


「へぇ?そんなに大事なものなんだ?じゃあ壊してあげるよ。」


その瞬間。


ブチッ


音を立てて、チェーンが切れた。


落ちていくペンダント。


これだけだったのに。


なんで。


なんで壊すの・・・?


ポロポロ


枯れたはずの涙がこぼれ落ちる。


私、泣いてる・・・?


私、泣けたんだ・・・。


「なくほど?いいよね、泣いてる顔も。」


そう言った男は、油断していた。

< 46 / 161 >

この作品をシェア

pagetop