涙色
男がペンダントに指をかける。
「っやめて!!!」
ペンダントを触らせたくない。
ペンダントを触るその手を振り払いたい。
けど、押さえつけられている手は動かなくて。
やだ。
やだよ・・・。
「へぇ?そんなに大事なものなんだ?じゃあ壊してあげるよ。」
その瞬間。
ブチッ
音を立てて、チェーンが切れた。
落ちていくペンダント。
これだけだったのに。
なんで。
なんで壊すの・・・?
ポロポロ
枯れたはずの涙がこぼれ落ちる。
私、泣いてる・・・?
私、泣けたんだ・・・。
「なくほど?いいよね、泣いてる顔も。」
そう言った男は、油断していた。