涙色


「ん・・・」


目を覚ますと全く知らない部屋にいた。


「ここ、どこ・・・?」


そもそもなんでこんなところにいるんだ?


少し、思い出す。


いつも通り街を歩いてて。


男に狭い路地に連れていかれて。


ペンダントを切られて・・・。


っペンダント!!


いつもある場所を触ってみるけれど、そこにペンダントは無くて。


どこ?


どこにペンダントはあるの?


もしかして落とした?


どこで?


しっかり握ってたはず・・・。


じゃあいつ・・・?


私が考えていると、突然ドアが開いた。


「あ、起きた?大丈夫?」


「・・・夏島春輝。」


「うん、そうなんだけど・・・。大丈夫?」


心配そうに私のことを見る。


「・・・平気。ペンダント・・・、知ってる?」


「ペンダント・・・?」


「そう。・・・ハートの」


「・・・ああ。持ってるよ」


「ほんと!?どこ!どこにあるの!?」


「えっちょ、大丈夫だから。取ったりしないから。」


私が立ち上がって夏島春輝の方に行けば、驚いた顔をした。


「返して!!」


「あ、うん。返すよ。返すけど、ちょっと待って。今直してるから。」


「直す・・・?チェーンを・・・?」


「うん。切れてたから・・・。ダメだった?」


「ううん。・・・直せるの?」


「うん。今、俺の友達が直してる。」


「・・・そう。」


あのペンダントは直るの?


夏島春輝は直してくれるの?


良かった・・・。


たったひとつのお揃い。


あれだけだから。


< 49 / 161 >

この作品をシェア

pagetop