涙色
「ん・・・」
目を覚ますと全く知らない部屋にいた。
「ここ、どこ・・・?」
そもそもなんでこんなところにいるんだ?
少し、思い出す。
いつも通り街を歩いてて。
男に狭い路地に連れていかれて。
ペンダントを切られて・・・。
っペンダント!!
いつもある場所を触ってみるけれど、そこにペンダントは無くて。
どこ?
どこにペンダントはあるの?
もしかして落とした?
どこで?
しっかり握ってたはず・・・。
じゃあいつ・・・?
私が考えていると、突然ドアが開いた。
「あ、起きた?大丈夫?」
「・・・夏島春輝。」
「うん、そうなんだけど・・・。大丈夫?」
心配そうに私のことを見る。
「・・・平気。ペンダント・・・、知ってる?」
「ペンダント・・・?」
「そう。・・・ハートの」
「・・・ああ。持ってるよ」
「ほんと!?どこ!どこにあるの!?」
「えっちょ、大丈夫だから。取ったりしないから。」
私が立ち上がって夏島春輝の方に行けば、驚いた顔をした。
「返して!!」
「あ、うん。返すよ。返すけど、ちょっと待って。今直してるから。」
「直す・・・?チェーンを・・・?」
「うん。切れてたから・・・。ダメだった?」
「ううん。・・・直せるの?」
「うん。今、俺の友達が直してる。」
「・・・そう。」
あのペンダントは直るの?
夏島春輝は直してくれるの?
良かった・・・。
たったひとつのお揃い。
あれだけだから。