涙色


・・・そういえば。


「ねえ、夏島春輝。」


「・・・春輝でいいよ。なに?」


「・・・・・・ここどこ。」


「え、いまさら?」


「で?ここどこなの。」


「ここは、俺の部屋だよ。」


「そう。」


「・・・名前読んでくれないの?」


「は?」


急になにを言い出すんだ。


名前ならさっき呼んだじゃない。


「夏島春輝って呼んだけど。」


「え、違うよ!!春輝って呼んで欲しいんだけど!」


「・・・なんで?」


なんで春輝って呼んで欲しいの?


意味わかんない。


「なんでって・・・」


「まあいいや。・・・助けてくれてありがと、春輝。」


「っえ、呼んでくれるの!?」


「はぁ?呼んでって言ったのは春輝でしょ?」


本当に意味わかんない。


「いや、うん。言ったよ。言ったんだけど。呼んでくれないと思ってた・・・。」


なんでだよ。


意味わかんない。




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