涙色


「・・・俺の仲間のところに行く?」


「・・・・・・暴走族でしょ?」


「うん」


「じゃあやだ。」


「・・・なんで?」


「前にも言ったでしょ」


「・・・そうだけど。行かない?」


何回言えばわかるの。


「・・・・・・どうせ裏切るでしょ。暴走族も。人間も。」


「俺らは裏切らないよ。」


「そんなのわかんない。」


「分かんないんなら信じてみてよ。」


「は?なんで分かんないから信じるの。」


「だって、信じてみれば俺らのことわかるようになるよ。そしたら、裏切らないって思えるようになる。」


「ならない。」


「大丈夫。俺らは裏切らない。」


「ウソだ。」


「嘘じゃない。」


違うそんなこと、有り得ない。


人はみんな裏切るんだ。


家族も、友達も。


仲間だって。


「ウソだ。」


「ウソじゃない。」


「ウソだウソだ!!!」


「ウソじゃない。」


「そんなわけない!!!みんな、みんな裏切って!人は人を蹴落として生きていくんだ!!!誰だって裏切った!家族も、友達も!仲間だって!!誰も私を信じてくれない!・・・誰も私を必要としていない。」


「そんなことないよ。俺にとって、夢羽は必要だよ。」


「なんで、そんな事言うの?・・・なんで、あったばかりなのに。」


「だって、夢羽のこと、もう信じてるもん。」


「な、んで・・・。」


なんで簡単に人を信じるの?


・・・なんで信じられるの?


わかんない。


わかんないよ。




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