涙色
「ここが幹部室だよ」
そう言って、ひとつの扉の前で立ち止まる。
ここに、他の人がいるんだよね・・・。
どんな人?
優しい人?
怖い人?
面白い人?
・・・裏切る人?
「大丈夫?入るよ。」
「・・・ん。」
私は怖くなって、春輝の服の裾を掴んだ。
私の行動に春輝が、目を見開いて顔を赤くしてたなんて、私は知らなかった。
ガチャっと音を立てて開いたドア。
「おー、春輝。あの子は?」
「ペンダントできたよ」
ドアを開けてすぐに聞こえた声。
中には二人いるの?
「夢羽はここ。」
春輝はその言葉と同時に、私を春輝の前に出した。
「っ・・・」
怖い。
手が震える。
部屋の中には四人いた。
さっきは2人しか声を出さなかっただけか。
ぎゅっとさっきよりも強く春輝の服の裾を掴んだ。
「・・・川崎、夢羽、です」
そう言って、ペコッと頭を下げた。
「夢羽か、かわいい名前だね」
「顔は中の上だな」
「雅人!ごめんね、こいつバカで」
彼はそういいながら、顔は中の上だって言った人を指さした。
「夢羽ちゃん、ペンダント直ったよ〜!」
「え、あ、ありがとうございます。」
ペンダントを渡された。
良かった。
直ってる・・・。
自然と顔がほころぶ。
「みんな、自己紹介」
春輝の言葉をはじめとして、そこにいた4人が自己紹介を始めた。