涙色


「俺は篠田佳正-Shinoda Yoshimasa-。翠嵐の副総長。よろしく。」


「俺は柿本透理-Kakimoto Tori-。幹部だ!透理とか、かっきーとか。いろんなので呼んでいいから!・・・あ、やっぱり、俺は姫を守るナイトだな!やっぱり俺の事はナイト「透理って呼ぶね。」・・・おう!」


なんだ、姫を守るナイトって。


絶対ナイトとは呼ばないわ。


普通に透理で。


透理は中二病なの?


「俺は原田雅人-Harada Masato-。幹部。まあ、顔は中の上だけど「雅人」・・・なんでもない。これからよろしくな。」


雅人の言葉を遮ったのは佳正。


・・・幹部は変なやつが多いのか?


「俺は白木飛鳥-Shiraki Asuka-。幹部。・・・幹部は変なヤツとか思うなよ。俺は普通だからな。・・・まあ、よろしくしてやるよ。」


・・・。


なんだ?


こいつも変なやつだけど。


それよりも。


「ぷっふふっ・・・飛鳥って女の子みたい。ふふっ」


私が笑っていると、突然飛鳥が座っていたソファから立ち上がった。


「おい。」


「ん・・・?なに?」


私が顔を上げると、飛鳥の怒った顔が目の前にあった。


「え、なになに。怖いんだけど。」


「てめぇ、笑いやがって・・・。」


「笑う・・・?ああ、名前のこと?っふふ・・・だって、女の子みたい。可愛いじゃん」


「てめぇ・・・!」


そう言って手を振りあげた。


殴られる・・・?


ああ。


過去とリンクする。


「いやぁぁ!」


「え?」


「夢羽?」


「夢羽ちゃん!?」


「は?」


「夢羽!?どうしたの?!」


みんなが私の方に来る。


やだ。


過去と重なる。


「あ、あ・・・やだ、来ないで・・・!!!」


その言葉に立ち止まるみんな。


私はその場にしゃがみ込む。


「っごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ・・・」


狂ったように謝る私。


「大丈夫。」


「あ・・・」


私の頭をなでている春輝。


それによって、私の言葉が止まる。


そうだよ。


ここはあそこじゃない。


あの場所じゃない。


ここにいる人たちは、そんなことしない。


・・・たぶん。


「あ・・・、はる、き・・・。」


「うん。そう。大丈夫だから。ね?」


そう言って、ふわりと綺麗に微笑んだ。


「・・・ん。大丈夫・・・。」


自分に言い聞かせるように、大丈夫と言う。


「無理しなくていいからね。」


「・・・うん。」


春輝のおかげで落ち着いた。


周りを見れば心配そうに見ている4人。


「・・・ごめんね、もう大丈夫だから。」


ニコッと笑いながら、そういった。


そうすれば、みんなが安心したような顔をする。


良かった。


迷惑をかけなくて。


迷惑なんて、かけたくない。


私が生きているだけで、たくさんの人の迷惑になっているのに。


これ以上迷惑はかけちゃいけない。


・・・幸せになったらいけないんだ。
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