涙色


いいの・・・?


私が姫になっても。


なりたい。


もう信じないって思ってたのに、あっさりと信じてしまう。


–––––––でも。


もしもまた、裏切られたら?


・・・もしもいらないって言われたら。


怖い。


信じてるんだよ。


けど、仲間になってしまったら。


裏切られた時、今よりもっと辛くなる。


・・・・・・どうすればいいの?


「・・・なり、たい。」


「ほんとに?夢羽。無理しなくていいんだよ。今思ってること言って?」


やっぱり春輝にはわかっちゃうんだね。


「・・・・・・裏切られるかもしれない。それが怖いの。」


「大丈夫だよ。みんな裏切らない。いなくならないし、俺らにとって夢羽は必要なんだ。」


「っでも!私は桜嵐の元姫だよ!?」


「そんなの関係ないぜ。」


雅人・・・。


「そーだよ夢羽ちゃん。今は桜嵐と関係ないからね。」


佳正・・・。


「よろしくしてやるって最初に言っただろ?」


飛鳥・・・。


「俺はナイトだからな!今守るのは夢羽だぜ!」

透理・・・。


「みんなこう言ってるけど、どうする?」


「・・・」


ふわっと優しく微笑んだ春輝は、私に手を差し出した。


「もう1回、信じてみよう。これが最後でもいいから。1歩踏み出して。」


「っ・・・」


ダメ。


また裏切られるかもしれない。


そう思ってるのに、気づいたら自分の手を重ねていた。


「じゃあ、これからは翠嵐の姫だからね。よろしく。」


そう言ってまた、微笑んだ。


「っふぇ・・・・・・ありが、とう・・・!ここ、私の・・・居場所・・・?私が、っ居ても、いいの・・・?」


「ここが夢羽の居場所で、夢羽がいないといけないところ。・・・居てもいいんじゃなくて、いないとダメだからね。」


ニコニコ笑いながら春輝はそう言った。


「っ・・・」


私の居場所。


私が居てもいい場所。


必要とされている場所。


・・・もう、1人じゃない。


そう思うと、涙が零れてきて。


大粒の涙が頬をつたう。


今まであんまり泣けなかったのに、今日だけでたくさん泣いた。


私の涙は枯れてなんかいなかった。


もう枯れてしまったと思っていたのに。


笑うことも、泣くことも。


すべて忘れたと思っていたのに。


自然と笑える。


気づいたら泣いている。


感謝してもしきれないよ・・・。


ありがとう、春輝。

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