涙色
2章
学校
翠嵐の姫になったからっていじめがなくなるわけじゃない。
というよりも、みんな私が翠嵐の姫だということを知らない。
知ってたらもっと酷くなるんじゃないかな。
毎日、休まずに学校に行く。
負けたくないから。
絶対泣かないし、絶対休まない。
そんなに弱いと思われたくない。
ずっと学校ではひとりだと思ってた。
今日までは。
でも違った。
学校でもひとりじゃなかった。
それがとても嬉しくて。
嬉しくて、嬉しくて。
学校にひとりでも味方がいることが、こんなにも嬉しいことなんだって思った。
常にひとりだった私は、常にひとりじゃなくなった。
必ず隣に誰かがいるんだ。
それだけで、とても強くなれた気がする。
たったそれだけのことなのに。
私には、とてもとても大きなものだった。