涙色
大好きだったの。
ピアノよりも裕磨が。
裕磨が、"ピアノを弾いてるときの夢羽が1番輝いてて好き"って言ってくれたから。
たまたま小学1年生からやっていたピアノ。
勉強でも、運動でも1番にはなれなくて。
ピアノだけが私の取り柄だった。
裕磨に聴いてもらいたくて。
なにがあってもやめなかった。
でも、裕磨がいなくなって、ピアノをやる意味がわからなくなってしまった。
だから、辞めた。
「どした?」
「ぇ、あ、え?」
「ぶっなんて声出してんだよお前。」
そう言ってケラケラ笑う。
「っ笑わないでよ〜!!ぼーっとしてたの!」
「だってお前、ぶっくくく、まぬけな顔してっククッ」
「〜〜〜っ!!!」
あーもうむかつくなぁ!
なんで笑うのよ!
「もう知らない!」
ばか!
飛鳥のばーか!
「言ってることも幼稚だな」
そう言ってまた笑う。
いいもんいいもん。
好きなように言えばいい!
無視してやるんだから!
飛鳥なんか。
飛鳥なんか、風邪で38度の熱出して、寝込んでろ!!
「ぶっおま、お前、思ってることも幼稚だな」
「はぁ?」
思ってることってなんだよ?
声に出してないんだから、わかんないだろ!!
「全部声に出てるぜ?ほんとまぬけだな。くくっ」
「〜〜〜っ!!!」
「熱出して寝込んでろって、ふっくく」
もうほんとに知らない!!