涙色


怖いっ・・・。


反対されたらどうしよう・・・?


ぎゅっと目をつぶる。


ぎゅっと手を握る。


手の震えがわからないように。


気付かれないように。


「夢羽さん・・・」


っ・・・!


ビクッと肩が揺れる。


なんて言われる?


「・・・桜嵐の噂は、全部嘘なんですよね?」


「っうん!・・・信じてくれないと思うけど、全部嘘なの!」


信じてくれるわけ、ないよね・・・。


だって元姫だもん。


「なら、俺は、信じます!」


「俺も!」


次々と声が上がる。


「信じて、くれるの・・・?」


「はいっ!」


「っでも、私は元姫なんだよ・・・!?」


「そんなの関係ありませんよ!」


「っほんとに・・・??信じても、いいのっ?」


「信じてください!」


そう言って下っ端達は笑った。


「っあり、がとうっ!」


涙が零れる。


大粒の涙は頬を伝って床を地面を濡らしていく。


「ん、頑張ったね」


その声とともに頭に置かれた掌。


「っうん!よかっ、た・・・!」


無言で頭をなでる春輝。


「みんな、話聞いてくれてありがとね。これからは夢羽が姫だから、全力で守ってね。傷つけたら許さないよ?」


最後の一言の時に、殺気出てましたけど、春輝くん。


怖いんですけど春輝くん。


下っ端たちも顔が強ばってますけど春輝くん。


なにがあったんですか春輝くん。


・・・何言ってるんだろう私は。


春輝くんっていっぱい言ってた気がする。


いや、気がするんじゃなくて、言ってたのか。


・・・なんか皆さん私を見て笑ってますけども。


なんででしょう?

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