涙色
ショッピングモールにつくと人がたくさんいた。
みんなといるだけでこんなにも楽しいなんて。
知らなかった。
仲間がこんなにいいものだなんて。
誰かがいる温かみも。
全部全部知らなかった。
愛情なんて親からはもらえなかった。
誰も友達として見てくれなかった。
–––––––––––人として見てくれなかった。
でもみんなは違う。
もう1人じゃないって思える。
「あっ、ねえねえこれ可愛くない?」
私の声にみんながその水着をみた。
「おお、可愛いじゃん。てか、夢羽に似合うんじゃね?」
「そうかな?ありがと雅人!」
私が可愛いと言ったのはフレアのビキニ。
白と薄いオレンジのチェック柄と、真っ白な布が二段フリルのようになっている。
「じゃあ試着してくる!!」
「気をつけてね」
「大丈夫だよ試着くらい。春輝は心配性だね」
そう言い残して試着室に入った。
・・・着てみたんだけど、うん。
いや、いいんだけどね。
みんなに見せなくていいよね?
・・・・・・うん。
見せなくていっか。
もう1度服に着替えて、シャッとカーテンを開けた。
「あ、夢羽。って、あれ?水着じゃねぇのか。」
「なに?飛鳥見たかったの?」
「どうせ海でみんだから今見なくてもいいだろ!お前そんなに見てぇのかよ!」
私の言葉にゲラゲラと笑いながらそう言ったのは透理。
あーあ。
こりゃ後で飛鳥にシバかれるね。
私は知らない。
透理を助けるなんて自殺行為するわけない。
「あぁ?透理、お前・・・。覚えとけよ。」
あ、飛鳥さん。
殺気が出ておりますよ!!
おー怖い怖い。
「なっ、ちょ、飛鳥悪かった!な!?許せ!」
「俺が許すとでも?」
「ごめん!・・・ちょ、みんなも助けて!?」
「透理、ご愁傷さま。」
「透理どんまーい」
「俺は知らない。」
「透理、安心して?私はちゃんとお葬式には行ってあげるからさ。」
佳正、雅人、春輝、そして私の順にそう言った。
「えぇ!?誰も助けてくれないの!?つか、夢羽が1番酷い!!」
「透理、うるさい。黙れ」
そう言ったのは佳正。
・・・なにげに佳正が1番怖いかもしれない。
オーラが黒いよ。
でも佳正の一言で透理は静かになった。
顔を真っ青にして。
「夢羽、行こっか。」
そう言ってレジに向かって歩き出す春輝。
そんな春輝について行って、お金を払った。