涙色
少しして、海の駐車場に入った。
「夢羽、着いたから降りていいよ」
バイクがしっかりと止まって、春輝にそう言われてから降りた。
潮の香りが私を包む。
いつもとは少し違う風。
そして、少し先に広がる白い砂浜と青い海。
海は波打っている。
たまに白波立つ海は、私をさっきよりももっとワクワクさせた。
「春輝達も来たなっ!」
その声に反応して、春輝と私、そして飛鳥と雅人が振り返った。
どうやら私たちが最後だったみたい。
「みんないるー?いない人手上げて〜」
そうだよね。
春輝は点呼取らないとダメだよね。
でもさ、考えようよ。
「春輝」
「ん?夢羽どうしたの?」
「あのさ、点呼とるのはいいんだけどさ。・・・いない人手上げてって言ってもさ、いないんだから手挙げられないよね?」
「あ・・・」
バカだ。
春輝ってバカだ。
しかも気づいてなかったとか、馬鹿でしかない。
やっぱり春輝が総長で大丈夫なの?
「春輝、全員いるよ。とりあえず場所取りに行こう。」
おお。
さすが佳正。
しっかりしてるねぇ。
「おっしゃ!夢羽、場所取りに行くぞっ!」
透理がそう言いながら私の腕を掴んだ。
「えっ!?ちょ!うわぁ!?」
そしてあろうことかそのまま全速力で走り出した。
走れば走るほど近づく海。
それはとても青かった。