涙色


「口ではなんとでも言えるって知ってたのに。人は嘘ばっかりだって前から知ってたのに。・・・それなのに私は信じちゃった・・・っ!」


やっぱり私はバカだったんだ。


生きてたらいけない私が、幸せになっていいわけがない。


私は、望まれて産まれてきたわけじゃないのに。


「結局裏切られてさ。捨てられて。嘘ばっかり。アハハっ・・・バカだよねぇ。全部、ちょっと考えればわかることなのに。」


私は自嘲の笑みを浮かべた。


「だから、もうどうでもよくなって、大切な人のところに行ってもいいかなって。・・・もう全部終わりにしようって思ったの。」


ここで死のう。


もう生きていたくない。


私が死んだって誰も悲しまない。


そう思って。


「・・・それなのにさ、春輝に止められるんだもん。その日は死ねなくて、次の日も、その次の日も死のうとしたの。・・・けど死ねなかった。私は弱虫だった。」


水面を見ながら話す。


春輝が今どんな表情なのかわからない。


「・・・・・・今も、死にたいって思ってる?」


春輝の質問に対する答えなんて簡単で。


「ううん。もう死にたいって思ってないよ。」


これが私の質問に対する答え。


「ふふっ良かった。」


春輝が笑ったのがわかった。


「ねぇ、夢羽。」
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