涙色


次の日はしっかりと学校に行った。


昇降口で上履きに履き替えていた時だった。


「ちょっと川崎さん。ついてきてくれる?」


・・・誰。


このケバイお姉さん方は。


なんでついて行かないといけないの。


めんどくさい。


「早くしなさいよ!!!」


仕方ない、か。


私はその人について行った。


ついたのは旧美術室だった。


ここ空き教室じゃん。


しかも汚いし。


ドアの鍵を閉めて私の方に近づいてきた。


ケバイ女は5人。


「あんたさぁ、なんで学校に来てるわけ?」


なんでってそれは


「出席日数のため?」


自分でも理由があやふやで、疑問形になる。


だって勉強はしてないし。


「調子乗ってんじゃないわよ!!」


え、待って待って。


出席日数のためって言っただけでなんで調子に乗ってることになるの?


意味がわからない。


「っ!?」


ドンッと突き飛ばされて、床に尻餅をついた。


「もう来ないでよ。あんたみたいなヤツいらないんだよ!」


そう言って私のことを蹴り始めた。


過去とリンクする。


周りにいる人が、あの人に見える。


口答えをしたらいけない。


私はいらない人間だから。


私は生きてていい人間じゃないから。


ごめんなさい。


ごめんなさい。


私が全く反応しないのが面白くないのか、女達はしばらく蹴ってから舌打ちをして教室を出ていった。


女達が蹴るのをやめて初めて気づく。


自分が震えていることに。

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