変わらない世界
階段、教室、廊下。
休日のためほとんど生徒は見かけなかった。


だけど、



「どうした。そんなとこに座り込んで」


階段のおどりばの隅に生徒が座り込んでいた。
よく見たら前に質問してきた女生徒だった。

”田中”

名札を見るとそう書いてあった。

田中は心臓の辺りを押さえ、今にも倒れそうな顔色をしている。
そんな彼女は弱々しい声で自分にこう言った。


「大丈夫。」


雰囲気からして大丈夫なワケがない。
俺は保健の先生を呼ぼうとした。
すると彼女が自分のジャージの裾を引っ張る。



「お願い。人は呼ばないで下さい」
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